各種水質基準項目の説明

更新日:2021年04月16日

(1)一般細菌:100集落/ml以下であること

ここでいう一般細菌とは、従属栄養細菌のうち、温血動物の体温前後で比較的短時間に集落を形成する細菌をいいます。一般細菌として検出される細菌の多くは直接に病原菌との関連はありませんが、一般細菌が多数検出される水は糞便によって病原菌に汚染されている疑いがあります。また、一般細菌は原水中に大腸菌群よりはるかに多く存在し、その一部は塩素に対して大腸菌群よりも強い抵抗性を持っていることから、消毒効果を確認するためには大腸菌群を指標とするよりも有利であり、汚染を検出する目的で検査されます。

(2)大腸菌:検出されないこと

大腸菌の検査は、原水が病原菌を含む糞便性の汚水によって汚染されている疑いがあることを示す指標として検査されます。

(3)カドミウム及びその化合物:0.003mg/L以下であること

地表水や地下水中のカドミウムの量は、亜鉛含有量の約1/200程度といわれています。汚染経路としては鉱山廃水、工場廃水、下水処理場のスラッジが廃棄された土壌等から河川に混入する場合が考えられます。

(4)水銀及びその化合物:0.0005mg/L以下であること

工場廃水、農薬、下水などから混入することがありますが、ごく微量の水銀は自然環境中に普遍的に存在する。環境水中で無機水銀はメタノバクテリウム等によってメチル水銀に変わり、有機水銀は無機水銀に分解されるので、無機と有機で循環しています。一般に、人に対する水銀の主な曝露経路としては大気、水、食品があり、飲料水中に0.0005mg/L含まれているとして、その水を毎日2リットル/日飲用したとしても摂取量はごく微量ですが、これに比べて食品(主に魚介類)からの摂取量は多く、1日に約40μgの摂取になると推定されています。

(5)セレン及びその化合物:0.01mg/L以下であること

セレンは自然水中に含まれることもありますが、その多くは鉱山廃水、工場廃水等の混入によります。一般的にセレンは食品から曝露され、穀物、肉、海産物にはかなりの量を含んでいます。また、セレンは生体微量必須元素で、グルタチオンペルオキシターゼの構成成分であり、生体内で生成される有害な過酸化物の代謝に関与しています。

(6)鉛及びその化合物:0.01mg/L以下であること

鉛は河川水中には地質、工場廃水、鉱山廃水等の混入によって溶存することがありますが、淀川水系にはほとんど含まれていません。一方、水道水で検出される鉛は、軟水やPH値の低い水において、給水管に使用されている鉛管に由来する場合があります。もし、鉛管が使用されている場合でも、流水であれば、給水栓中の鉛濃度が0.05mg/Lを超えることはほとんどありませんが、開栓初期の水については0.05mg/Lを超える事例も見られることから、開栓初期の水は飲用以外の用途に用いることが望ましいです。平成14年3月の厚生労働省令改正によって基準値が0.05mg/L以下から0.01mg/L以下であることへと強化され、平成15年4月から適用されています。

(7)ヒ素及びその化合物:0.01mg/L以下であること

河川水中では染料、製革、塗料等の工場からの廃水や農薬などの汚染が原因となって存在することがあります。また、特別に発生源のないところでも微量に広範囲に分布しています。表流水中のヒ素は、凝集沈殿、急速ろ過によってほぼ完全に除去できます。

(8)六価クロム化合物:0.02mg/L以下であること

環境水中にあるクロムは一般に低いレベルにあります。クロムのうち有害なのは六価クロムで、三価クロムの毒性はその100分の1とされています。このため六価クロムによる規制だけで十分であるとされています。

(9)亜硝酸態窒素:0.04mg/L以下であること

硝酸態窒素より非常に低濃度で存在し、窒素肥料、腐敗した動植物、生活排水、工場排水等に由来する有機窒素化合物の分解によって生成されます。

(10)シアン化物イオン及び塩化シアン:0.01mg/L以下であること

シアン化物を含む廃水としては、めっき工業、金属精錬等からの廃水があり、水源事故等によって混入した場合を除いて、通常、飲料水への関わりはあまりありません。WHO飲料水質ガイドライン値は0.07mg/L以下ですが、これは動物の亜毒性慢性実験データから得られた最小作用量を安全係数で除して得たものです。

(11)硝酸態窒素及び亜硝酸態窒素:10mg/L以下であること

環境水中の硝酸態窒素及び亜硝酸態窒素は、無機肥料の使用、腐敗した動植物、生活排水、工場廃水等に由来します。飲料水中の硝酸態窒素は種々の窒素酸化物が酸化を受けて生じた最終生成物で、通常の水処理や塩素処理では変化しないため、原水とほぼ同じ濃度にあります。
体内に吸収された硝酸イオンについて、成人は胃酸のPHが通常2~3なので還元作用はほとんど起こりませんが、胃酸の分泌が少ない乳児はPHが4強であるため、還元作用によって亜硝酸態窒素が多く生成されます。ただ、硝酸態窒素が10mg/L以下の地域で、乳児のメトヘモグロビン血症を発症したとの報告はありません。

(12)フッ素及びその化合物:0.8mg/L以下であること

飲料水に含まれるフッ素の長期摂取による毒性は、斑状歯の発生と骨格フッ素中毒症です。WHOは成人の摂取量を、食べ物から全体の80~85%、飲料水から0.03~0.68mg、1日当たり1.4~6.0mgの摂取と試算しています。国内、国外の免疫調査から0.8mg/L以下であることと規制されています。

(13)ホウ素及びその化合物:1mg/L以下であること

自然水中に含まれることはまれですが、火山地帯の地下水や温泉にメタホウ酸の形で含まれることがあり、また金属表面処理剤、ガラス、エナメル工業で使用されていることから、工場廃水から混入することがあります。
なお、ホウ素が問題となるのは、基本的に、海水淡水化、地質等の影響などによるホウ素の影響を受ける地域でのことです。

(14)四塩化炭素:0.002mg/L以下であること

四塩化炭素はフルオロカーボン類(フロン11、フロン12等の冷媒)の原料として使用されることが多く、その他各種の溶剤、洗浄剤、殺虫剤の原料としても使用されています。発がん性について国際がん研究機関(IARC)はグループ2Bに分類しています。

IARCの化学物質の発がん性のグループ分け

グループ1:人に対して発がん性のある物質

グループ2A:人に対して発がん性を示す可能性が高い物質

グループ2B:人に対して発がん性を示す可能性がある物質

グループ3:人に対して発がん性による分類が不可能な物質

グループ4:人に対して発がん性がおそらくない物質

(15)1,4―ジオキサン:0.05mg/L以下であること

溶剤や1,1,1―トリクロロエタン安定剤などの用途に使用されるほか、ポリエキシエチレン系非イオン界面活性剤及びその硫酸エステルの製造工程において副生し、洗剤などの製品中に不純物として存在します。
発がん性については弱い遺伝毒性しか示されていませんが、IARCはグループ2Bに分類しています。

(16)シス-1、2-ジクロロエチレン及びトランス-1、2-ジクロロエチレン:0.04mg/L以下であること

主な用途は溶剤、染料抽出剤で、発がん性に関する評価は低いです。

(17)ジクロロメタン:0.02mg/L以下であること

主な用途は塗料の剥離材、プリント基板の洗浄剤、ゴム等の溶剤で、発がん性に関してIARCはグループ2Bに分類しています。

(18)テトラクロロエチレン:0.01mg/L以下であること

主な用途はドライクリーニング洗浄剤、金属表面の脱脂洗浄剤で、人への健康影響は低濃度での経口曝露で肝臓と腎臓に障がいをもたらします。発がん性に関してIARCはグループ2Bに分類しています。

(19)トリクロロエチレン:0.01mg/L以下であること

主な用途はドライクリーニング洗浄剤、金属表面の脱脂洗浄剤として使用されていて、発がん性に関してIARCはグループ3に分類しています。

(20)ベンゼン:0.01mg/L以下であること

染料、合成ゴム、合成洗剤、医薬品、合成繊維、合成樹脂等多様な化学合成製品の合成原料として、あるいはそれらの溶剤として広く使用されています。環境中での最大の発生源はガソリンの燃焼に伴うもので、発がん性に関してIARCはグループ1に分類しています。

(21)塩素酸:0.6mg/L以下であること

塩素酸は浄水過程で消毒剤として使用される二酸化塩素及び次亜塩素酸ナトリウムの分解生成物であり、健康影響としては赤血球細胞への酸化ダメージ(ヘモグロビン、血球容量、赤血球の減少など)が考えられています。

(22)クロロ酢酸:0.02mg/L以下であること

除草剤、チューインガム可塑剤、塩化ビニル可塑剤、医薬品、アミノ酸等の合成、CMC、香料、キレート剤、界面活性剤として使用されています。水道水中に含まれるクロロ酢酸などのハロゲン化酢酸類は、原水中の有機物や臭素と消毒剤(塩素)とが反応して生成する消毒副生成物質に由来します。発がん性を示す証拠は認められていません。

(23)クロロホルム:0.06mg/L以下であること

溶剤、麻酔剤、消毒剤、フッ素系樹脂、フッ素系冷媒(フロン21、22)の原料、テフロンの原料等広い分野で使用されています。環境中での汚染は主に溶剤、抽出剤等によって放出されることからが多く、水道水中のクロロホルムは原水中のフミン質を主とする有機物と消毒剤の塩素が反応して生成されることに由来するものであり、トリハロメタン(THM)の主要構成物質です。発がん性に関してIARCはグループ2Bに分類しています。

(24)ジクロロ酢酸:0.03mg/L以下であること

水中にフミン質が存在すると、塩素処理やオゾン処理によってトリクロロ酢酸が生成されます。発がんに関する評価はやや低いです。

(25)ジブロモクロロメタン:0.1mg/L以下であること

浄水処理過程で消毒用の塩素が臭素イオンを酸化して次亜臭素酸を生成し、この次亜臭素酸が水中のフミン質等と反応することによって生成されます。トリハロメタン(THM)構成物質の一つで、生成量は原水中の臭素イオン濃度に強く影響され、臭素イオンが多いほど生成量も多くなります。発がん性に関してIARCはグループ3に分類しています。

(26)臭素酸:0.01mg/L以下であること

臭素酸は多くの塩(えん)として存在し、一般的には臭素酸カリウム、臭素酸ナトリウムの形で存在します。オゾン処理時、消毒薬剤である次亜塩素酸生成用の原料塩に含まれている不純物の臭素が酸化することによって臭素酸が生成しますが、オゾン処理時にオゾン注入率やPHを制御することによって生成を抑制することが可能です。発がん性に関してIARCはグループ2Bに分類しています。

(27)総トリハロメタン:0.1mg/L以下であること

クロロホルム、ジブロモクロロメタン、ブロモジクロロメタン及びブロモホルムの濃度の合計量をいいます。

(28)トリクロロ酢酸:0.03mg/L以下であること

水中にフミン質が存在すると、塩素処理やオゾン処理によってトリクロロ酢酸が生成されます。発がん性に関する評価はやや低いです。

(29)ブロモジクロロメタン:0.03mg/L以下であること

浄水処理過程で消毒用の塩素が臭素イオンを酸化して次亜臭素酸を生成し、この次亜臭素酸が水中のフミン質等と反応して生成するもので、トリハロメタン(THM)構成物質の一つです。生成量は原水中の臭素イオン濃度に強く影響され、臭素イオンが多いほど生成量も多くなります。発がん性に関してIARCはグループ2Bに分類しています。

(30)ブロモホルム:0.09mg/L以下であること

試験室で試薬として使用されるなど用途はごく限られています。浄水処理過程で消毒用の塩素が臭素イオンを酸化して次亜臭素酸を生成し、この次亜臭素酸が水中のフミン質等と反応することによって生成するもので、トリハロメタン(THM)構成物質の一つです。生成量は原水中の臭素イオン濃度に強く影響され、臭素イオンが多いほど生成量も多くなります。発がん性に関してIARCはグループ3に分類しています。

(31)ホルムアルデヒド:0.08mg/L以下であること

エポキシ樹脂塗料やアクリル樹脂塗料の原料として使用されています。飲料水においては、水中のアミン等の有機物質が塩素処理やオゾン処理による生成に由来することが多く、発がん性に関してIARCはグループ2Aに分類しています。

(32)亜鉛及びその化合物:1.0mg/L以下であること

自然水中の亜鉛濃度は微量であり、原水の汚染としては鉱山廃水、工場廃水等の混入に由来するものがあり、水道の障がいとしては、給水管に使用した亜鉛メッキ鋼管からの溶出によるものがあります。 亜鉛は1.0mg/L未満であれば、水質にほとんど異常を認めませんが、1.0mg/Lを超えると乳白色となり、煮沸すると油状の皮膜を作るようになります。亜鉛の毒性は比較的少なく、水質基準の「1.0mg/L以下であること」とは白濁して不快感を与えることから定められました。亜鉛は人の生体機能に必須の元素であり、生体内で重要な役割を果たしています。

(33)アルミニウム及びその化合物:0.2mg/L以下であること

人の生体におけるアルミニウムの代謝は十分解明されていませんが、吸収されたアルミニウムは急速に尿中から排泄されます。また、アルツハイマー病とアルミニウムの関係も指摘されていますが、この因果関係を結論づけるにはさらに詳細な検討が必要であると考えられています。

(34)鉄及びその化合物:0.3mg/L以下であること

酸素濃度が低い地下水は、井戸から直接汲み上げられた時には色度も濁度もありませんが、二価の鉄イオンを数mg/L含んでいる場合があり、これが大気に曝されると、二価の鉄イオンが酸化されて三価の鉄イオンになって、水に不快な赤褐色の色をつけ、いわゆる赤水と呼ばれる現象を起こします。水に溶解した鉄が0.3mg/L未満の場合は、色度や濁度を生じさせても味を感じさせることはありませんが、0.3mg/Lを超えると洗濯物や給水装置を汚し、味を感じるようになります。原水中の鉄は凝集沈殿やろ過等によって除去できます。また鉄は人の生体機能に必須の元素です。

(35)銅及びその化合物:1.0mg/L以下であること

銅イオンの混入は、鉱山廃水、工場廃水、農薬の混入や貯水池の生物抑制処理に使用する薬剤(硫酸銅)等に起因します。水道水中には銅管から溶出した場合があり、銅特有の金属味を付けたり、青緑色に着色することがあります。特に銅管を使用する給湯器は熱水が流れるために銅イオンの溶出量も多くなり、時に青い水が出たりします。

(36)ナトリウム及びその化合物:200mg/L以下であること

味覚のいき値は水中に共存する陰イオンや水温に関連します。室温での味のいき値はナトリウムイオンに換算して200mg/Lで、健康に影響しない摂取量の限度は6グラム/日と考えられています。

(37)マンガン及びその化合物:0.05mg/L以下であること

水中にマンガンイオンが含まれると徐々に酸化されて二酸化マンガンとなって配水管内壁に付着し、これが管内流速や流向の変化によって剥離するといわゆる「黒い水」となることから、この黒水を防止する観点から基準値が設定されています。マンガンは人の生体機能に必須の元素です。

(38)塩化物イオン:200mg/L以下であること

水中に溶解している塩化物中の塩素分をいいます。塩化物イオンは通常、料理に使用する食塩によって、平均6~12グラム/日の摂取量になりますが、水道水から摂取される塩化物イオンは1日摂取量の0.33%にしか過ぎません。水質基準は味の観点から設定されている。

(39)カルシウム、ナトリウム等(硬度):300mg/L以下であること

カルシウムとマグネシウムの塩(えん)類を多く含む水を硬水、少ない水を軟水といい、総硬度はカルシウム塩とマグネシウム塩の総量で示されます。
硬度は水の味に影響を与え、一般的に、硬水は口に残るような味がし、軟水は淡白でコクのない味がするといわれます。硬度が高すぎると胃腸を害して下痢を起こす場合があります。

(40)蒸発残留物:500mg/L以下であること

水中に浮遊したり溶解した状態で含まれている物質を蒸発乾固したときにその残渣として得られた物の総量をmg/Lで表したものです。水道水中の蒸発残留物の主な成分はカルシウム、マグネシウム、シリカ、ナトリウム、カリウム等の無機塩類と有機物です。蒸発残留物に含まれる無機塩類は味に影響し、多い場合も、また極端に少ない場合も味をまずくします。

(41)陰イオン界面活性剤:0.2mg/L以下であること

一般家庭で洗濯用あるいは炊事用合成洗剤として広く使用されており、家庭雑排水に含まれて下水処理場を経由、または直接河川に流入することによって広く水域環境中に存在します。多くの国では早くから難分解性の陰イオン界面活性剤をより分解されやすいタイプに変更したため、水域環境中に存在する量は減少しています。改正水道法では、新しく陰イオン界面活性剤は、炭素数10~14個の直鎖アルキルベンゼンスルホン酸(LAS)であると定義されています。水質基準は泡立ちの制御を確実にする観点から定められています。

(42)ジェオスミン:0.00001mg/L以下であること

ジェオスミンは湖沼などで繁殖する藍藻類のアナベナ等によって生成され、カビ臭の原因物質となります。カビ臭は一般的にかなりの低濃度で感知され、臭気のいき値は10ng/Lと言われています。

(43)2-メチルイソボルネオール(2―MIB):0.00001mg/L以下であること

2-MIBは湖沼などで繁殖する藍藻類のフォルミディウム、オッシラトリア等によって生成され、墨汁のような臭いがします。一般的にかなりの低濃度で感知され、臭気のいき値は5ng/Lと言われています。

(44)非イオン界面活性剤:0.02mg/L以下であること

家庭用では合成洗剤、複合石鹸、食器・住居用各種洗浄剤として、工業用では洗浄剤、乳化剤、分散剤として使用されています。水質基準は泡立ちの制御を確実にする観点から定められています。

(45)フェノール類:0.005mg/L以下であること

フェノール類とはフェノールやその誘導体であるクレゾール等を総称するもので、主に防腐剤や消毒剤として、また、医薬品、染料等の製造原料として使用されています。フェノール自身は0.1mg/L以下では異臭を感じませんが、フェノールを含む原水を塩素処理するとクロロフェノールが生成され、異臭味を与えます。

(46)有機物(全有機炭素(TOC)の量):3mg/L以下であること

17年4月1日から、これまで過マンガン酸カリウム消費量法によって測定されていたものを、この方法に含まれる種々の問題点(主として誤差の問題)を解消し、水中に存在する有機物の全量を知る方法として、有機物を構成する炭素を指標として定量する測定法(TOC-Total Organic Carbon)に改められました。

(47)pH値:5.8~8.6の範囲内であること

pH値は全範囲が14で、7が中性で、14に近くなるほどアルカリ性が強くなり、小さくなるほど酸性が強くなります。浄水処理においてpH値は凝集処理の管理上、重要な監視項目です。また浄水のpH値は鉄管の腐食とも関係し、水質基準の5.8~8.6の範囲内であることとは人体に対するものではなく、浄水処理への影響、あるいは水道施設、配水管、家庭内の給水施設等の腐食の観点から設定されています。

(48)味:異常でないこと

厚生省が設置した「おいしい水研究会」報告(1985年4月25日)では、「蒸発残留物は、量が多くなると水に苦味、渋味、塩味などをつけるが、適度に含まれている場合には、こくのあるまろやかな味がする。硬度の低い水はくせがないが、高くなると人によっておいしいと感じる人とそうでない人がいる。カルシウムに比べてマグネシウムの多い水は苦味を増す。遊離炭酸は、水にさわやかな味を与えておいしくするが、あまり多くなると刺激が強くなってまろやかさを失わせる。有機物の多い水は渋味がある。また異臭がある場合は味を損ねる原因となる。残留塩素濃度が高い場合にはカルキ臭を感じるようになる。水温は水のおいしさを決める重要な要素であり、体温に比較して20~25度低いとき、生理的にもっともおいしく感じられる」と解説されており、水質基準では「(味が)異常でないこと」とされています。

(49)臭気:異常でないこと

水道水で問題となる臭気物質は、藻類や放線菌等の生物に起因するカビ臭物質、フェノール等の有機化学物質に起因するものがほとんどです。水道水の異臭味は、不快感を与え、水道の価値を低下させ、水道の安全性への信頼感を失わせるもので、水質基準では「(臭気が)異常でないこと」とされています。

(50)色度:5度以下であること

水道原水である河川水が着色する原因は、樹木などの植物セルロースやリグニン酸が酸化される過程で生じるフミン質を主とする有機物質による場合がほとんどです。水道水の着色はこれらフミン質によるものが大半ですが、給水栓での色の障害は、白水、赤水、黒水、青水などさまざまな場合があります。 白水は、空気に起因する場合と亜鉛に起因する場合とがあり、赤水は、鉄が原因物質である場合が多く、黒水は、マンガンが原因物質である場合が多く、青水は、銅管からの銅の溶出に起因する場合が多いです。

(51)濁度:2度以下であること

濁りの原因となる物質は、粘土性物質、溶存物質が化学変化して不溶性の粒子となったもので、プランクトン、微生物、有機性物質などがあります。浄水中の濁りは浄水処理の良否を判断する重要な指標で、わずかな濁りの中にも細菌などの微生物が取り込まれ、塩素の消毒作用が及ばず、以降の施設内で増殖する場合があります。原水にクリプトスポリジウム汚染があると考えられる場合などはより慎重な処理・操作が必要となります。

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